はじめに
水不足って聞いたことはあるけど、日本は海に囲まれているんだし、雨もたくさん降るよね…。
水不足は日本とは関係ない問題なのかな?
そんな風に思ったことはありませんか。
僕も、「バーチャルウォーター」という言葉を知るまでは、そんな風に思っていました。
今回の記事では、「バーチャルウォーターって何?」という疑問を解消し、「日本の水不足」という問題を感覚的に理解できるよう解説していきます!
「バーチャルウォーター」って何?
「バーチャルウォーター」というのは、食料を輸入している国が、もしその輸入食料をすべて自国で生産したら、どの程度の水が必要かを推計した量のことです。
つまり、バーチャルウォーターの量を国内でまかなうことができない場合、その国は水不足であるといえるのです。
例えば、1kg のトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800 リットルの水が必要です。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kg を生産するには、その約20,000 倍もの水が必要です。(出典:環境省https://www.env.go.jp/water/virtual_water/)
日本の食料自給率(2020)は37%です。対して、2005年に日本に輸入されたバーチャルウォーターは約800億立方メートルで、これは日本国内の年間水使用量とほぼ同水準で、その大半は食料生産に使われています。
つまり日本は、食料輸入を増やす(食料自給率は終戦直後は80%前後だった)ことで自国で食料生産に必要だった水を使わずにすんでいるということです。
よって、日本は「水の輸入大国」であるといえます。
もしも、食料の輸入先が水不足に陥り食料の輸出を制限すれば、日本は実質的な「水不足」に陥ってしまうのです。
日本の人口は今後世界的にも特異的なスピードで減少していく局面ですが、世界の人口はそれ以上のスピードで上昇していくトレンドです。
日本は海外の水不足や水質汚濁に無関係ではいられないのです。
日本の人口は2060年までに現在の1億2000万人から8674万人まで減少することが推計されています。ですので、「食料不足や水不足の問題は解決されるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、単純計算すると現在の食料生産量でまかなえる日本人の人数は、
1億2000万人×0.37=約4400万人分です。これでは8674万人分をまかなうことができません。
これを食料生産を増やして補うにしても、そもそも日本の高齢化はこれからも進んでいきますし、農業は後継者不足が問題となっています。
また、世界ではこれからの人口増加にともない、食料の争奪戦や水質汚濁はより加速していくことが予想されます。
以上のことから、「日本は水不足と無関係ではいられない」ことをご理解いただけたかと思います。
まとめ
今回は、「日本と水不足の関係」について、「バーチャルウォーター」を解説することでご説明してきました。
少し発展した話題を取り上げるならば、外国人が日本の土地を購入するなど「水資源の争奪戦」が始まっているという議論もあります。(この件については、この記事では解説しませんので気になった方は調べてみてください)
それでは!ありがとうございました!
【参考文献】
「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」河合雅司 2017
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