はじめに
あなたは”信用”と”信頼”を正しく使い分けていますか?
この2つは似ているようで全く違う概念です。
今回の記事で述べていくのは「信用と信頼のちがい」についてですが、この記事を通して皆さんに伝えたいのは、
「正しい日本語を使おう」
ということではありません。
ここでの使い分けとは、言葉のレベルではなくとらえ方・考え方のレベルのことを指しています。
仲間を”信用”するか、それとも”信頼”するか。
これによってあなたの人間関係は大きく左右されるのです。
もっと規模を大きくすれば、組織として”信用”の文化をもつか、”信頼”の文化をもつかによって、組織全体の雰囲気や生み出すことのできる成果が変わってくるといえます。
正しく理解し使い分けることで、より良い人間関係を築いていきましょう。
”信用”と”信頼”の大きな違い
それでは早速、”信用”と”信頼”の違いについてご説明していきましょう。
信用とは…
条件付きに信じること。銀行などで融資を受ける際などに使われる用語でもある。要するに、
「あなたはちゃんとやるの?」「きっちりと役割・責任を果たせる人なの?」ということ。
信頼とは…
無条件に信じること、愛すること。要するに、
「役割・責任を果たしていなくてもあなたを認めるよ」ということ。
家族関係などをイメージするとわかりやすい。
まとめると、
「信用=条件付き」
「信頼=無条件」
であるということです。
さて、良い人間関係、良い組織づくりを目指す場合、どちらを重視し取り入れるべきでしょうか。
結論から言います。取り入れるべきは、”信頼”です。
無条件に信じてしまっては、いつか騙されてしまう。だから”信用”が大切なのではないか?
そういった声もあるでしょう。
しかし、信じたところで信じなかったところであなたは他人の行動をコントロールできるでしょうか?
他人が成果を出せるか、出せないかはあなたの課題でしょうか?
それは違いますよね。
あなたは、あなたのただ課題に取り組めばいいのです。
あなたの周りの人も、あなたに”信用”の値踏みをされることは望んでいません。
あなたは、ただ”信頼”すればよいのです。
常勝軍団には”信頼”の文化がある
みなさんは、アレックス・ファーガソン監督をご存じですか?
ファーガソンは、1986年から27年間もの間、名門マンチェスター・ユナイテッドの監督を務め、彼のチームは”常勝軍団”とも称されました。
彼にまつわるある有名なエピソードがあります。
それは、選手がゴールを決めたときの”喜び方”に関するものです。
サッカーでゴールが決まった場合、真っ先にゴールを決めた選手をたたえるのが普通でしょう。
しかし、彼の行動はそれとは異なっていました。
ゴールが決まった瞬間、彼が真っ先に駆け寄り、祝福するのはアルバート・モーガンという選手…ではなく用具係のおじさんでした。
”信用”と”信頼”の違いに基づいて改めて考えれば、
ゴールを決めた選手を祝福する=信用
用具係のおじさんを祝福する=信頼
ということができるでしょう。
つまりファーガソンが行っていたのは、
「ゴールを決められたのは、準備をしてくれる人がいたから(このゴールは、得点した選手だけのものではない)」
という”信頼”のメッセージを送ることだったのです。
このことによって、何が起こるかは明白でしょう。
1つのゴールをチームのものとして喜ぶことのできる、”信頼”の文化が形作られていくのです。
そして、そういった文化のもとでは、結果を残せなかった選手が孤立することも避けられます。
お互いが信頼し合い、支え合う、そういった組織を作ることが、スポーツチームに限らず、会社、学校などにとって大切なことなのです。
まとめ
今回は、”信用”と”信頼”の違いについて、まとめてきました。
冒頭でも述べましたが、僕は言葉の誤用を正したいわけでは断じてありません。
考え方、価値観として”信頼”を大切にすること、選択していくことの意義について述べてきたのです。
似ているようで、まったく違う2つの概念。
これを知ってしまったあなたは、これからどちらの道を歩んでいくのか選択することになるでしょう。
この記事があなたにとってよい”きっかけ”となることを願っています。
それでは!ありがとうございました!
【参考文献】
「嫌われる勇気」岸見一郎・古賀史健 2013
「幸せになる勇気」岸見一郎・古賀史健 2016
「もしアドラーが上司だったら」小倉広 2017
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