【マルチタスクは非効率?】マルチタスク実現までの正しいアプローチ

働き方

はじめに

同時進行で様々なタスクをこなす。いかにも「仕事のできる人」というイメージがありますね。

しかし、「マルチタスク」は科学的に非効率であることが判明しています。

今回の記事はそんな「マルチタスク」について、なぜ非効率なのかということについてまとめていきます。

一方、後半部分では「マルチタスクの可能性」について考えていきます。

この記事との出会いをきっかけに、非効率なマルチタスクと決別し、本当のマルチタスクの力を発揮するための方法を身に着けていきましょう!

なぜ「マルチタスク」は非効率なのか?

あなたは集中することが得意ですか?

勉強に集中しようとしてもほかのことが気になってなかなか手につかない。

気が散って読書がなかなか進められない。

心当たりのある方も多いことでしょう。

集中をコントロールするのは簡単なことではなさそうです。

それでは、何が私たちの集中を難しいものとしているのでしょうか。

結論から言います。それは、「マルチタスク」です。

スタンフォード大学で行われたある実験をご紹介します。

この実験は、「マルチタスクを得意とする人は何らかの能力に秀でているに違いない」ということを検証するために行われました。

実験の対象は、

  • 勉強をしながらネットサーフィンをしてもまったく問題ないと思っている人(マルチタスク派
  • 一つのことに集中して取り組むのを好む人(シングルタスク派)

です。

いくつものテストから明らかになったのは、「マルチタスクを得意とする人(自称)」はそうでない人と比べ相対的に「集中がかなり苦手」ということでした。

特に顕著だったのは、「マルチタスク派」は重要でない情報を選別し、無視することができなかったのです。言い換えれば、「気が散りやすい」ということです。

そして何より衝撃的なのは、自慢の「マルチタスク能力」ですら「マルチタスク派」は成績が悪かったのです。

(「スマホ脳」参照)

わたしたちは一度に一つのことにしか集中できません。一度に複数のことを同時にこなしていると思っていても、実際に行っていることは作業と作業の間を行ったり来たりしているだけなのです。

ここで「注意残余」という言葉をご紹介します。

注意残余」とは、簡潔に言うと「脳には切り替え時間が必要」ということを指します。

つまり、上の実験での「勉強をしながらネットサーフィンをしてもまったく問題ないと思っている人」は、行動としてはネットサーフィンから勉強へと瞬時に移ることができても、脳の注意(集中力)は前の作業に残っているということです。

そして、再び勉強へと集中することができるのは何分も後のことなのです。

実際には、脳の切り替えが瞬時に可能である「スーパーマルチタスカー」と呼ばれる人も存在するようですが、こういった人は1~2%ほどしかいないとされています。

よって、世の中の「マルチタスクを得意とする人」の大半は、「マルチタスカーもどき」であり、結果的に非効率な行動をしてしまっているといえるのです。

マルチタスクの可能性

ここまでは、マルチタスクのネガティブな側面についてまとめてきました。

ご自身が「スーパーマルチタスカー」であるという自信のある方は、変わらず現在の道を突き進んでください。

一方、これまでの経験を見つめなおし、「マルチタスクとの決別」を考え始めた皆さん、もう少々お付き合いください。ここからは、方向を大きく転換しマルチタスクの可能性について考えていきたいと思います。

ここでは、「料理」を例に挙げて考えていきます。

基本的に、複数メニューを作る場合、料理はマルチタスクで行うことが効率的でしょう。

例えば、米が炊き上がるまでの間、炊飯器の前で待ち続ける人はいませんよね。この時間には、みそ汁やおかずの準備をするでしょう。もっと細かく見ていくと、みそ汁のお湯を沸かしている時間にも野菜を切ったり、食器の準備をしたり、使った調理道具を洗ったり、様々なことが同時進行で進んでいきます。

料理の場面で「マルチタスクをしない方が効率的だ」などとは誰も思わないはずです。

それでは、ここまでまとめてきた「非効率なマルチタスク」と「効率的なマルチタスク」の決定的な違いは何でしょう?

それは、「空き時間をどのように活用するか」という視点をもっているかどうかであると思います。

僕は、飲食店の厨房で約4年間アルバイトをしていた経験があります。

そこで大切だったのは、ピザを入れてからひっくり返すまでの2分半や、フライパンを火にかけてから温まるまでの30秒の間に何ができるかを考えるということでした。

サラダを作る工程を「必要な野菜を冷蔵庫から出す」「ドレッシング等を準備する」「食器を準備する」「野菜を切る」「盛り付ける」「ドレッシングをかける」とできるだけ細かく分解し、「隙間時間に入れ込む」という発想が必要だったのです。

料理の話題から離れれば、「パソコンの処理を待つ時間」や「移動時間」に何を入れ込むかを考え、それを極めることがマルチタスクを実現する1つのアプローチであるということです。

さらに、もう1つのアプローチ方法があります。

それは、「1つ1つのタスクの質を高める」ということです。

シングルタスクを極める。その結果としてタスクの質とスピードが向上し、素早いシングルタスクの合わせ技として、実質的なマルチタスク(様々な仕事を次々とこなしていく状態)が実現されます。

  • 作業を細かく分解し、隙間時間に入れ込む。
  • シングルタスクの質を高めることで、実質的なマルチタスクを実現する。

マルチタスクは、この2つのアプローチでのみ可能となるのです。

このことが意味しているのは、「マルチタスクに近道はない」ということです。

何も考えず様々なことを同時進行で行おうとすれば、かえって効率は低下します。

そういった「マルチタスクの落とし穴」にはまることなく、「作業を正しく分割し、所要時間を適切に分析する能力を高める」「1つひとつのタスクの質を高める」という正しいステップを踏むことにのみ、マルチタスクの可能性は開かれているのです。

まとめ

今回は、マルチタスクの非効率性について述べたのちに、マルチタスクの可能性について考察していきました。

繰り返しになりますが、マルチタスクが非効率であることは科学的に明らかになっています。

しかし、この事実はわたしたちに「マルチタスクとの決別」をもたらすものではありません。

なぜなら、「マルチタスクが非効率」という研究が意味しているのは、「脳には切り替え時間が必要」という事実であり、上述の料理の例にあるような工程を細かく分割しパズルのようにはめ込んでいく「隙間時間活用型マルチタスク」や、素早いシングルタスクの合わせ技としての「実質的マルチタスク」の可能性を否定するものではないためです。

マルチタスクを目指すわたしたちに本当に必要であるのは、正しいアプローチを踏むことなのです。

さぁ、正しい知識をもち、「マルチタスクの落とし穴」を避けながら、マルチタスク実現への道を模索していきましょう!

それでは!ありがとうございました!

【参考文献】

「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン 2020

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